人口減少(河合雅司)

いまだに世界人口は増え続けている。人々が豊かな暮らしを手にしたいと思う気持ちは抑えようがない。果たして、この先、人類はどうなっていくのだろうか。 だが、各国のデータを調べてみると、すでに地球規模で少子化が進み始めている。あまり知られていないが、1950年以降、世界全体の合計特殊出生率は急落している。「2015〜2020年」は2.47だが、21世紀中に「2」台を割り込む見通しだ。世界人口が減少に転じるのは、もはや時間の問題なのである。 資源不足にしても、地球温暖化の進行にしても、人口の急増が大きな要因となっているわけだから、その前提が変わればいずれは落ち着きを取り戻し解決に向かうこととなる。タイムラグはあるが、いつの日か人類の悩みは人口爆発がもたらす弊害から、人口減少がもたらす課題へと大きく転換するということだ。 人口がひとたび減り始めると流れを止めることは難しい。それどころか、減少スピードを加速させていくこととなる。われわれは、人類が〝レッドリスト〞の仲間入りをすることになるかどうかの瀬戸際にあることに気付くべきなのである。